鶴見大学歯学部
―有床義歯補綴学講座―

       Department of Removable Prosthodontics
               Tsurumi University  School of Dental Medicine

No6


With The Department
No. 6 Summer

September, 2011


【ご挨拶】
この度の東日本を襲った大規模な地震で被災された方々に心からお見舞いを申し上げます.被災されました方々のご苦労や悲しみを考えますと胸が張り裂ける思いですが,これまでの日常が一刻も早く回復されることをお祈り致します.無事な私達が責任ある職務を今まで以上に確実に遂行することが,復興支援に必要な第一歩ではないかと信じています.
鶴見大学歯学部も定員割れの激震から2年目の正念場を迎えておりますが,一日も早い復活を目標に,教職員の意識も向上しています.5月より本学附属病院は第2,第4土曜日も開院となりましたし,指定校へのご挨拶や一日体験入学,オープンキャンパスにも積極的に取り組んでいます.もちろん,教育,臨床,研究には今まで以上に全力を傾注しています.
この半年間で講座内にもいくつかの変化がありました.今年度より診療科名の「補綴科」が「補綴科(義歯・クラウンブリッジ)」に変更したのに併せて,講座名も従来の「歯科補綴学第一講座」,「歯科補綴学第二講座」のナンバー制から「有床義歯補綴学講座」,「クラウンブリッジ補綴学講座」とそれぞれ具体的な学問名を冠し,理解しやすいようになりました. また今年度は計7件の科学研究費が新規採択されました.講座内で競争的外部資金獲得の高い目標を掲げ,皆で努力し,多大な成果が得られましたことは何よりの喜びです.今後も積極的な研究費申請を継続し,より上質な研究を遂行していきたいと思います.
7月には阿部 實先生が学内教授に昇任されました.今後は講座内で各職位の定員と同数の学内教授,学内准教授,学内講師を推薦することが可能になりましたことから,硬直した人事の中で少しでも教員の活性化に繋がるものと期待しています.また4月より栗原大介先生が臨床教授に,石川恭敬先生が非常勤講師に就任され,基礎実習のご指導をしていただいています.教員数の削減と職務の多様化の狭間で,高度な教育レベルを維持していくためには,欧米や韓国の実習システムに倣い,学外でご活躍の講座OBを招聘し,教育支援をお願いしたいと考えています.
少子化に伴い,「全入時代」を迎えた大学の立場はますます厳しくなっています.
国立大学の独法化や任期制の導入により,今までの常識では考えられなかった環境に大学は曝されており,「行き残り」をかけて大学間競争も激化しています.激動する時代のその渦中で,大学人のするべきことは何なのでしょうか.冒頭で申し上げましたように「責任ある職務を今まで以上に確実に遂行すること」に尽きるのかもしれません.信念を持って邁進し試練を乗り越えてこそ,本学の復興があると確信しています.暖かいご支援を心からお願い申し上げます.

大久保力廣

【近況報告】
・ 第104回歯科医師国家試験2月5日,6日に行われました.受験者数は2,356人,合格者数1,928人.全体の合格率は81.8%でした.鶴見大学は64.3%(新卒:77 % 既卒:43.2 %)で,29校中24番目でした.
・ 平成23年3月31日付けで新井 高教授(歯内・歯周治療学),福島俊士(クラウンブリッジ補綴学),三枝木泰丈教授(生理学)が定年退職し,名誉教授にご就任されました.
・ 4月5日には入学式が行われました.今年度も全国的に歯学部入学志願者が大幅に減少し,定員割れとなった私立大学歯学部が17校中10校ありました.本学も定員128名に対して入学者97名でした.
・ 4月1日より,歯学部の講座名が変更になり,前述の補綴以外では保存1;保存修復学,保存2;歯周・歯内治療学,口外1;口腔顎顔面外科学,口外2;口腔内科学講座となりました.
・ 5月より本学附属病院は第2,第4土曜日も開院となりました
では平成22年度上半期の教室の主な動向をお知らせします.
・ 歯学部講師の椎名順朗先生が平成22年3月31日付けで退職し臨床教授に就任されました.7月17日(日),『椎名順朗先生 感謝の会』が横浜シェラトンホテルで開催されました.ラグビー部関係者,同門会,教室員約200名が出席し,盛会となりました.
   
『椎名順朗先生 感謝の会』横浜シェラトンホテルにて
・ 岡本直子先生,岡野大輔先生の2名が3月に学位を取得し,大学院を修了しました.
・ 学部助手の高林洋太先生が平成23年3月31日付けで退職しました.
・ 歯学部講師の任期更新が行われ,当教室は滝新典生先生,大貫昌理先生が任期を更新しました.
・ 4月より栗原大介先生が臨床教授に就任されました.
・ 7月より阿部 實先生が学内教授に昇任されました.
・ 常勤専科生として 増田雄二郎先生,山口俊介先生,吉岡絢子先生,非常勤専科生として三原広史先生,白崎絵美子先生が入局し,大学院生として小樋香織先生,小澤大輔先生,また,昨年専科生で在籍していた岡山章太郎先生が入学しました.
・ 助教の花谷重守先生が4月から1年間,ニューヨーク大学に留学中です.
・ 大学院2年生の廣田正嗣先生が7月から3カ月間,香川大学工学部に短期留学しています.
・ 韓国 DANKOOK University からJoon-Seok Lee先生が7〜8月の1カ月間,有床義歯補綴学講座に短期留学しました.8月11日(木)横浜翼カフェでFarewell Partyを行いました.
          
横浜翼カフェでFarewell Party
【学会発表】

日本口腔インプラント学会第30回関東甲信越支部学術大会、パシフィコ横浜、2011.2.13
・鈴木恭典 他
学会口演「インプラントデンチャー用緩圧性ボールアタッチメントの開発」
・河野健太郎 他
学会口演「インプラントオーバーデンチャー用緩圧性ボールアタッチメントの維持力と負担圧配分」

第24回歯科チタン学会学術講演会、鶴見大学会館、2011.2.19-20
・廣田正嗣 他
学会口演「擬似体液中におけるUV照射チタンおよびジルコニア上へのアパタイト沈着」
・岡野大輔 他
学会口演「ハイブリット型コンポジットレジンとチタンの耐摩耗性に関する研究」
・千葉奈央 他
学会口演「樹脂クラスプを用いたチタン床義歯の臨床例」
・長田知子 他
ポスター発表「純チタンアバットメントスクリューの開発」
・花谷重守
学会シンポジウム「純チタンvs.チタン合金Part2」

2011 IADR,San Diego,2011.3.16-2011.3.19
・Tokue, A  et al
展示「Flexural proraties of relined injection-molded thermograprastic denture base resins」
・Osawa, K  et al (歯学部4年生)
展示「Bonding strength of soft relining materials to thermoprastic resins」
・Toba, T  et al (歯学部5年生)
展示「Bending strengths of repaired thermoprastic resins」
・Shinpo, H  et al
展示「Effect of adhesive agent on bond strength of thermoprastic resins」

日本補綴歯科学会、第120回記念学術大会、広島国際会議場、2011.5.20‐22
・北野展久 他
学会口演「弾性熱可塑性合成樹脂と軟質裏装材の接着に関する研究」
・鈴木達也 他
学会口演「弾性熱可塑性合成樹脂義歯(ノンクラスプデンチャー)のアンケート調査」
・松田梨沙 他
学会口演「ガム咀嚼が脳機能に及ぼす影響−正常有歯顎と部分床義歯装着者の比較−」
・河野健太郎 他
学会口演「義歯床用材料の表面摩擦感の客観的評価に関する研究」
・西山雄一郎 他
ポスター展示「下顎位および顎機能の偏りが身体重心動揺に及ぼす影響 第3報 咬合力バランスと身体重心動揺および足圧の左右差」
・高山慈子 他
ポスター展示「鋳造体とクラスプ線のレーザー溶接における継手形態の影響」
・深川菜穂 他
ポスター展示「鶴見大学歯学部付属病院における難民申請支援歯科治療(第1報)」

The 10 th Annual Meeting of Pan-Pacific Implant Society ,Seoul ,2/7/2011-3/7/2011
・Suzuki, Y  
講演「Current attachment systems for implant overdentures」

【その他】
大久保力廣
・講演「ノンクラスプデンチャーの臨床」(高松市歯科医師会、高松市救急医療センター、2011.1.22)
・講演「ノンクラスプデンチャーを上手に臨床応用するために」(鶴見大学歯学部同窓会PGC、鶴見大学会館、2011.3.6)
・講演「ノンクラスプデンチャーの問題点−義歯の設計原則から−」(豊橋DSCセミナー、豊橋日航ホテル、2011.4.27)

【論文】
岡野大輔
「歯冠補綴用ハイブリッド型コンポジットレジンの耐摩耗性」(日本歯科理工学会誌)
Okamoto, N
「Effect ofocclusal support by implant prostheses on brain function」(J Prosthod Res)
大久保力廣
「全部床義歯製作に対する生理的アプローチRemoldingからPiezographyへ Part.1 歯槽頂線法則とリモールディング」(日本歯科評論 71(4):105~112,2011)
「全部床義歯製作に対する生理的アプローチ RemoldingからPiezographyへPart 2 ピエゾグラフィとFBIテクニック」(日本歯科評論 71(5):93~101,2011)
「パーシャルデンチャーを再考する Part1 パーシャルデンチャーの適応と設計原則」(補綴臨床44(3):299~308,2011)
新保秀仁 他
執筆「高齢者にやさしい歯冠修復・補綴治療−Biocompatibility(生体調和性)に基づいた対応−“ノンクラスプデンチャーは高齢者に有効か?”」(日本歯科評論別冊,2011,)
細井紀雄 他
執筆「誤嚥性肺炎」「口腔粘膜のケア」「ソフトデンチャー」(義歯のケア第1版,デンタルダイアモンド,2011.2.1)
MIURA, E  et al
論文「Effect of surface treatment agents on bond strength of auto-polymerized acrylic resin to polyethylene terephthalate」(Int Chin J Dent 10(4):57-62, 2010)
Hosoi, T  et al
論文「Influence of denture treatment on brain function activity」(Japanese Dental Science Review 47(1):56-66,2011)
Nishiyama, Y  et al
論文「Evaluation of psychological effect of prothetic treatment using Emotion Spectrum AnalysisMethod (ESAM)」(Prothod Res 55(2):82-88,2011)

【Message from inside】
昨年は当教室が,今年は技工研修科が40周年を迎えま
した.夏休みに技工研修科の水野先生,歯科衛生科の
宮田教授とパパになったばかりの佐藤洋平先生と一緒に,
霞ヶ浦周辺を自転車旅行に行ってきました. 歯学部創成
期を築いてきた二人の先生の後ろを必死になってペダルを
回しましたが,どんどん離されてしまいました.    いつまでも
若くお元気です.流石にゼロから補綴を作り上げていった
人達です. 

三浦 英司
・増田雄二郎
今年から専科生でお世話になっております.一つでも多く
技術を学んで治療に生かせればと思っております.宜しくお
願いします!
・吉岡絢子
 補綴治療が一番苦手だったので,有床義歯に入りました.色々な症例を動じずにできるようになりたいです.治療や技工など先生方のアドバイスを頂き,日々勉強になり,とても充実しています.これからもご指導の程よろしくお願いします.
・白崎絵美子
 分からない事ばかりで,みなさんにご迷惑をおかけする事が多々あると思いますが,これから頑張って行きたいと思いますので宜しくお願い致します.
・山口俊介
4月から入局させていただいております.外では学ぶことができないことを一つでも多く学べるように勉強していきたいと思いますので宜しくお願い致します.
・小澤大輔
 大学院生としてお世話になります小澤大輔と申します.何かと問題を起こすとは思いますが,よろしくお願い致します.院では,開業医に行っても学べないことを一つでも身につけていきたいと思っております.
・小樋香織
 大学院に在籍している間に,研究だけでなく多くのものを見たり触れたりし,実際に患者さんと向き合った時に生かせるように頑張っていきたいと思います.宜しくお願い致します.

【今後の予定】
第14回 ICP(アメリカ,ハワイ2011.9.8-12)
第41回日本口腔インプラント学会(名古屋2011.9.16-18)
第21回日本磁気歯科学会(名古屋2011.11.12,13)
平成23年度 日本補綴歯科学会西関東支部学術大会(横浜2012.1.8)
第89回 IADR(ブラジル, リオデジャネイロ 2012.6.20-23)

以上,簡単に教室の現状と予定をお知らせしました。
先生方の一層のご活躍をお祈り申し上げます.
     ニュースレター担当

三浦 英司,鈴木恭典,富永真由美

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